断熱リフォームをしたい人必見!4つの補助金を解説
「断熱リフォームに補助金が出ると聞いたけど、どんな種類があるの?」という悩みをお持ち方のために、この記事では2022年度版の断熱リフォームの補助金について解説します。
なお、この記事でご紹介する「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、2022年7月で受付が終了しています。これは、住宅のリノベーション/改修の補助金に対する注目度が上がっていることの表れだと思われます。
記事では「長期優良住宅化リフォーム推進事業」についても解説しますが、本事業の補助金は現時点(2022年10月執筆時点)では利用できないため、来年度以降のための参考としてください。「長期優良住宅化リフォーム推進事業」以外にも魅力的な補助金事業はあるため、本年度中にリフォームを検討している方は、利用可能な補助金の中で検討することをおすすめします。
目次
2022年度のリフォーム補助金4種
2022年度に設置されたリフォーム補助金事業は以下のとおりです。
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業
- 次世代省エネ建材の実証支援事業
- こどもみらい住宅支援事業
- 住宅エコリフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業の補助金制度を利用すると、戸建住宅やマンションに対し、省エネ、耐震化、住宅性能向上、子育て世代向けの改修などを行う際の費用に対し、補助金を受けることができます。補助金を受けるためには以下の3つの条件があります。
【補助金を受けるための条件】
- インスペクション(現況調査)を行い維持保全計画とリフォーム履歴を作成すること
- リフォーム後に劣化対策、耐震性、省エネ対策、住居面積の項目が性能基準を満たすこと
- 「性能向上に資するリフォーム工事」「三世代同居対応改修工事」「子育て世帯向け改修工事、防災性・レジリエンス性の向上改修工事」のうちいずれかに該当すること
また、本補助金制度には、「評価基準型」と「認定長期優良住宅型」の2種類があり、補助金の上限額は以下のとおりです。ただし、支給される補助金は、補助対象のリフォーム工事費等の3分の1の金額が上限になります。
【事業タイプと補助限度額】
事業タイプ | リフォーム後の住宅性能 | 補助限度額 |
---|---|---|
評価基準型 (長期優良住宅(増改築)認定の基準には満たない) |
劣化対策、耐震性、省エネルギー対策の項目が評価基準に適合する(共同住宅は、高齢者対策と可変性も追加) | 1戸あたり100万円(※150万円) |
認定長期優良住宅型 | 所轄行政庁が定める全ての性能項目で認定基準を満たす | 1戸あたり200万円(※250万円) |
- 三世代同居対応改修工事、若者・子育て世帯や既存住宅を買った方が改修工事をする場合、太陽光発電による削減量を除いて一次エネルギー消費量を省エネ基準比▲20%とする場合
(出典)国土交通省住宅局 令和 4 年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業に関する説明資料を基に筆者作成
本補助金の申請手続きは、施工業者が行います。マンションの場合は、管理組合による専門委員会を設置し、検討と議論を進め、総会による決議をもって進めていくのが一般的です。
既存住宅における断熱リフォーム支援事業
既存住宅における断熱リフォーム支援事業は、戸建住宅や集合住宅に対し、断熱材、窓、ガラスなどの高性能建材を利用し、15%以上の省エネ効果改善が見込まれる断熱リフォームを行うものです。住まい全体での断熱改修を行う「トータル断熱」と、居間に高性能建材に該当する窓を使って断熱改修を行う「居間だけ断熱」があり、それぞれの補助率は補助対象となる経費の3分の1以内で、補助金額(上限額)は戸建で最大120万円/戸、集合住宅で最大15万円/戸となります。補助金額は以下のとおりです。
【補助対象製品と補助金額】
-
トータル断熱
住宅種類 戸建 集合住宅 個別 全体 補助対象製品 <高性能建材>
断熱材、窓、ガラス、玄関ドア左記に加え共用部LED <建材以外>
家庭用蓄電システム、家庭用蓄熱設備、熱交換型換気設備等<建材以外>
熱交換型換気設備等<建材以外>
なし補助金額 120万円/戸
(玄関ドア5万円込)家庭用蓄電システム:20万円
家庭用蓄熱設備:20万円
熱交換型換気設備等:5万円15万円/戸
(玄関ドア5万円込)熱交換型換気設備等:5万円
15万円/戸
(玄関ドア5万円とLED補助額込) -
居間だけ断熱
住宅種類 戸建 集合住宅 個別 全体 補助対象製品 <高性能建材>
窓、玄関ドア左記に加え共用部LED <建材以外>
家庭用蓄電システム、家庭用蓄熱設備、熱交換型換気設備等<建材以外>
熱交換型換気設備等<建材以外>
なし補助金額 120万円/戸
(玄関ドア5万円込)家庭用蓄電システム:20万円
家庭用蓄熱設備:20万円
熱交換型換気設備等:5万円15万円/戸
(玄関ドア5万円込)熱交換型換気設備等:5万円
15万円/戸
(玄関ドア5万円とLED補助額込)
- こちらの事業は居間を全て改修する場合は他の居室も補助対象となります。
(出典)公益財団法人 北海道環境財団 既存住宅の断熱リフォーム支援補助金についてを基に筆者作成
本補助金の申請手続きは、戸建住宅及び集合住宅の個別申請の場合は所有者が行います。集合住宅全体で申請する場合は管理組合等の代表者が行います。
次世代省エネ建材の実証支援事業
次世代省エネ建材の実証支援事業は、高性能建材や次世代省エネ建材の実証を支援する目的で行われています。対象の建材(製品)を利用して該当のリフォームを行うと補助金が受け取れます。対象となる補助対象製品と補助金は以下のとおりです。なお、本補助金の申請は、補助事業者が行います。
【補助対象製品と補助額】
外張り断熱 | 内張り断熱 | 窓断熱 | |
---|---|---|---|
要件 | 外壁全てを外張り断熱工法などで改修する | 室内を断熱パネルか潜熱蓄熱建材を使って改修する | 全ての外窓を防火、防風、防犯使用で改修する |
使用必須の製品 | 断熱材(外壁) | 本事業に登録されている断熱パネル、潜熱蓄熱建材 | 本事業に登録されている外窓 |
使用任意の製品 | 断熱材(天井/床)窓、玄関ドア、断熱パネル、潜熱蓄熱建材、調湿建材、高効率換気システム | 本事業に登録されている断熱材、窓、玄関ドア、調湿建材 | 本事業に登録されている断熱パネル、潜熱蓄熱建材、断熱材、内窓、玄関ドア、調湿建材 |
補助金額 |
1〜4地域:400万円/戸 上限:補助対象経費の2分の1 |
戸建:200万円/戸 上限:補助対象経費の2分の1 |
150万円/戸 上限:補助対象経費の2分の1 |
住宅の種類 | 戸建住宅 | 戸建住宅・集合住宅 | 戸建住宅 |
(出典)一般社団法人環境共創イニシアチブ 令和4年度経済産業省による次世代省エネ建材の実証支援事業のご紹介を基に筆者作成
外張り断熱とは
外張り断熱は、外壁を全て断熱工法で改修する工事をいいます。外張り断熱の補助金額は最高で400万円/戸(地域によっては300万円/戸)になっており、上記3種類の中で最も補助金額が高額です。一般的に、補助金額は高額になるほど基準も厳しくなる傾向があります。また、補助金額と同時に、自己負担額も高額になってしまうことも見落としてはいけません。外張り断熱は、断熱性能だけでなく外観もリニューアルされるため、外壁の補修が必要になっている方は選択をしやすいでしょう。
内張断熱とは
内張り断熱は、断熱パネルか潜熱蓄熱建材を室内から設置する工法です。補助金額は戸建で200万円/戸、集合住宅で125万円/戸となっており、自己負担額を補助金額と同額に抑えれば、外張り断熱よりは安く仕上げることが可能です。内張り断熱は集合住宅でも利用できる点が特徴です。「うちのマンションは古いせいか冬寒く夏暑い」と感じている方にとっては検討の余地があります。
窓断熱とは
窓断熱は、全ての外窓を改修する工事です。補助金額は150万円/戸が上限です。窓は触れるとわかるとおり、冬は冷たく夏は熱くなっており、外気温を室内に伝えてしまいます。ガラスやサッシの性能は進化しており、外窓をリフォームするだけでも省エネ性能のアップは期待できます。窓断熱は、外張り断熱や内張断熱は不要だが窓は変えたい、という方に向いています。
こどもみらい住宅支援事業
こどもみらい住宅支援事業は、「こどもみらい住宅事業者」として登録された施工業者にリフォーム工事を依頼した場合に、補助金を受け取れる制度です。補助金の申請手続きは、登録された施工業者が行います。対象となる工事と補助金額は以下のとおりです。
【補助対象の工事】
必須 | 開口部の断熱改修 |
---|---|
外壁、屋根、天井、床の断熱改修 | |
エコ住宅設備の設置 | |
必須項目と同時利用の場合に対象 | 子育て対応改修 |
耐震改修 | |
バリアフリー改修 | |
空気清浄機能・換気機能付きエアコンの設置 | |
リフォーム瑕疵保険等への加入 |
- 補助額5万円以上で対象
(出典)こどもみらい住宅支援事業 リフォームを基に筆者作成
【補助上限額】
下記(1)の要件に該当 | 下記(2)の要件に該当 | |
---|---|---|
〇 | 〇 | 60万円/戸 |
〇 | × | 45万円/戸 |
× | 〇 | 45万円/戸 |
× | × | 30万円/戸 |
- 工事発注者は申請時点で2003年4月2日以降に生まれた子がいる「子育て世帯」である、または夫婦どちらかが1981年4月2日以降に生まれた人である「若者夫婦世帯」である
- 自ら住むために購入した既存住宅に対するリフォーム工事であり、既存住宅は以下の条件を満たしている
- 不動産売買契約の締結時が住宅完成から1年以上経過かつ、2021年11月26日以降かつ、かつリフォームの工事請負契約締結の3ヶ月以前である
- 売買代金が税込で100万円以上である
- 特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度(安心R住宅制度)の安心R住宅調査報告書が発行された「安心R住宅」のリフォームである(工事発注者が(1)に該当しない場合のみ)
(出典)こどもみらい住宅支援事業 リフォームを基に筆者作成
住宅エコリフォーム推進事業
住宅エコリフォーム推進事業は、ZEHレベルの高い省エネ住宅にするための改修費用に対して、国から補助金が受けられる制度です。カーボンニュートラルの実現が目的となっています。改修や建替えだけでなく、省エネ診断や省エネ設計の費用も補助金の対象になります。
【補助金限度額】
項目 | 国の補助率 |
---|---|
省エネ診断 | 民間実施:1/3 公共実施:1/2 |
省エネ設計等 | |
省エネ改修(建替え含む) | 民間実施:戸建住宅11.5%、マンション1/6 公共実施:11.5%
|
(出典)国土交通省 住宅エコリフォーム推進事業についてを基に筆者作成
省エネ改修の際に、補助金を受けるための要件は以下のとおりです。
- 令和4年9月1日以降の契約である
- 事業者登録後に着手した工事である
- 開口部、躯体等の断熱化工事、設備の効率化に係る工事である
- 設備の効率化に係る工事の金額は、開口部、躯体等の断熱化工事と同額以下である
- 改修後に耐震性およびZEHレベルが確保されている
- 令和6年度末までに着手する
申請手続きは施行業者が行います。
まとめ
断熱リフォームは、冬は暖かく夏は涼しい家を実現させることで、暮らしを快適にします。冷暖房の効率を上げることで、光熱費を節約できるだけでなく、二酸化炭素の排出を抑える効果も期待できます。日本には、断熱リフォームを後押しするために、数々のお得な補助金制度があるため、有効的に活用しましょう。
断熱性能を向上したリフォーム・リノベーションの効果については、YKK APの「性能向上リノベ」というウェブサイトに詳しく記載されています。
- 本稿は2022年10月に作成したものです。
- CFPR
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
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[2024年11月1日現在]