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住宅ローン控除の条件とは?手続きや必要書類まで詳しく解説

住宅ローン控除

更新日:2024年10月

この記事では、2024年1月に制度変更された住宅ローン控除の内容について説明します。住宅ローン控除の制度内容は頻繁に変更されてきましたが、2024年1月からは子育て世帯への控除拡充が行われるなど、2023年度までの制度と比較して若干の変更点がありましたので確認しておきましょう。

住宅ローン控除制度について

住宅ローン控除とは、マイホームを購入した人のうち、年末時点で住宅ローン残高がある方が受けられる税額控除の制度です。所得税からの還付が主になりますが、所得税から還付しきれない場合は、住民税からも還付を受けられます。

2024年1月からの住宅ローン控除の内容について

住宅ローン控除は、2022年に大幅に制度内容が改正され、2024年は2022年・2023年の制度内容を基に一部変更されている形になります。制度内容を体系的に理解するために、2022年・2023年の内容も含め表にしました。なお、中古住宅、増改築(リフォーム)は、2022年~2025年の4年間の制度内容に変更はありません。

<新築・買取再販住宅>

居住年ごとの借入限度額
(控除期間)
2022年 2023年 2024年 2025年
認定住宅
長期優良住宅
認定低炭素住宅
5,000万円
(13年)
4,500万円
(13年)
子育て世帯・若者夫婦世帯は5,000万円
4,500万円
(13年)
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円
(13年)
3,500万円
(13年)
子育て世帯・若者夫婦世帯は4,500万円
3,500万円
(13年)
省エネ基準適合住宅 4,000万円
(13年)
3,000万円
(13年)
子育て世帯・若者夫婦世帯は4,000万円
3,000万円
(13年)
一般の住宅
(省エネ基準を満たさない住宅)
3,000万円
(13年)
0円
2,000万円
(2023年末までに建築確認を受けた場合)
(10年)
控除率 年末借入残高×0.7%
所得要件 (1)合計所得金額2,000万円以下
(2)合計所得金額1,000万円以下
床面積要件 所得要件(1)の場合は50m²以上
所得要件(2)の場合は40m²以上
((2)は新築等の認定住宅等の場合で、2024年末までに建築確認を受けた場合)

<中古住宅の場合>

居住年ごとの借入限度額
(控除期間)
2022年 2023年 2024年 2025年
認定住宅
長期優良住宅
認定低炭素住宅
3,000万円
(10年)
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
一般の住宅 2,000万円
(10年)
控除率 年末借入残高×0.7%
所得要件 合計所得金額2,000万円以下
床面積要件 50m²以上

<増改築(リフォーム)の場合>

居住年ごとの借入限度額
(控除期間)
2022年 2023年 2024年 2025年
居住用家屋の
増改築等
2,000万円
(10年)
控除率 年末借入残高×0.7%
所得要件 合計所得金額2,000万円以下
床面積要件 50m²以上

(出典)国税庁、国土交通省ウェブサイトを基に筆者作成

省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅など

上記の表の中で注意すべき点は、省エネ基準を満たさない新築・買取再販住宅は、2023年末までに建築確認を受けた物件でない限り、住宅ローン控除の対象外だということです。つまり、「住宅ローンであれば無条件に住宅ローン控除が受けられる」というわけではないので注意が必要です。

2024年1月からの変更点について

2024年度に新しく追加された条件は以下のとおりです。

  • 子育て世帯への控除拡充について
  • 新築住宅の床面積の要件について

子育て世帯・若者夫婦世帯への控除の拡充について

上記の表のとおり、子育て世帯・若者夫婦世帯は、認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅の新築・買取再販の物件の場合に、2023年度までの控除枠が維持されます。子育て世帯・若者夫婦世帯とは、「40歳未満で配偶者を有する方、40歳以上で40歳未満の配偶者を有する方、19歳未満の扶養親族を有する方」のことを言います。

新築住宅の床面積の要件について

住宅ローン控除の対象は、「原則床面積50m²以上の物件」となっていますが、合計所得金額1,000万円以下の方の場合は、2024年末までに建築確認を受けた新築等の認定住宅等の物件に限り、床面積の要件が「40m²以上」に緩和されています。

環境性能による住宅区分

ここで住宅ローン控除の制度内容に頻出する環境性能による住宅区分について表にしました。

住宅区分 内容
長期優良住宅 「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて設計・建築された住宅でその証明を受けたもの
低炭素住宅 「都市の低炭素化の促進に関する法律」に基づいて設計・建築された住宅でその証明を受けたもの
ZEH水準省エネ住宅 日本住宅性能表示基準における断熱等級5、一次エネ等級6を有する住宅
省エネ基準適合住宅 日本住宅性能表示基準における断熱等級4以上、一次エネ等級4以上を有する住宅

(出典)国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」国土交通省「令和4年度税制改正のおける住宅ローン控除の延長 Q&A」を基に筆者作成

ハウスメーカーや工務店で注文住宅を購入する場合、建売住宅を購入する場合は、環境性能の区分の確認をしておきましょう。

住宅ローン控除で税金はいくら戻ってくるのか

住宅ローン控除で還付される所得税額は、下記の「年末の借入残高×0.7%」です。借入残高ごとの還付金額を表にしました。

<年末の借入残高ごとの還付金額>
前提:所得税の納税額>還付金額、控除対象借入限度額≧年末借入残高
年末借入残高 年ごとの還付金額
5,000万円 35万円
4,000万円 28万円
3,000万円 21万円
2,000万円 14万円

(筆者作成)

控除期間が13年の場合でも、初年度の控除額を13年間繰り返せるとは限らず、借入残高の低下とともに、還付金額が減っていく可能性があるということです。

なお、所得税から控除しきれない場合に住民税から控除される金額は下記のとおりになります。

所得税の課税所得金額×5%(上限97,500円)

住宅ローン控除を受けるための手続き

住宅ローン控除を受けるためには、住宅ローン契約者が控除手続きを行わないといけません。会社員の場合、借り入れ1年目は確定申告が必要ですが、2~13年目(もしくは10年目)は勤務先の年末調整のみで申請は完了します。

確定申告期間は例年だと毎年、2月16日~3月15日(休日の場合は翌営業日)です。ただし、住宅ローン控除のように還付のみであれば1月から申告可能です。控除の手続き後、確定申告の場合は約1ヵ月~1ヵ月半程度で指定口座に振り込まれます。年末調整の場合は、勤務先によって受取方法が異なりますので確認してください。

手続きのための必要書類について

住宅ローン控除のための確定申告で使う主な書類は以下のとおりです。

書類名 取得先・発行元等
登記事項証明書 法務局
建築工事請負書または不動産売買契約書 建築会社、不動産会社
住宅ローンの年末残高証明書 金融機関
認定住宅等の場合は住宅の区分ごとの証明書類 各所管行政庁等
源泉徴収票 勤務先
確定申告書 国税庁ウェブサイト
本人確認書類 マイナンバーカードなど

(出典)国税庁ウェブサイト、国税庁ウェブサイトを基に筆者作成

物件によっても異なるため、国税庁のウェブサイトまたは管轄の税務署等で確認をしておきましょう。

執筆者
遠藤様

遠藤功二

えんどう こうじ

  • CFP(R)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

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[2024年11月1日現在]