団体信用生命保険とは?その必要性と確認事項を紹介

更新日:2025年2月
「自分に万が一のことがあった時に、家族に住宅ローンを残したくない」という想いをお持ちの人は多いと思います。そのような住宅ローンを利用しようとする人が抱く不安を取り除くのが「団体信用生命保険(以下、団信)」です。
団信は被保険者が死亡または所定の高度障害状態となった際に、残債が保険金によって完済される生命保険です。多くの金融機関で住宅ローンを借りる際に団信の加入を必須としています。団信は、債務者やその家族を守るだけでなく、金融機関にとっても貸し出した資金を滞りなく回収するために必要な保険だからです。
ただ、一口に団信といっても住宅ローンを取り扱っている金融機関ごとに商品性は異なります。住宅ローンを比較する際には金利や事務手数料を気にする人が多いですが、団信の保障内容の違いを見落とさないようにしましょう。
今回は団信の基本的な知識をお伝えするとともに、加入時に確認しておきたいことについても具体的事例を交えて解説します。
目次
団信とは
団信とは、金融機関を保険契約者、住宅ローン契約者を被保険者とする保険です。保険期間は、住宅ローン契約期間内となります。多くの金融期間で取り扱っている団信は、主に死亡・高度障害状態となった場合に保障される内容が主軸になっています。このような団信に加入している場合、被保険者が他界したり、事故や病気が理由で高度障害状態になってしまった際に保険金で住宅ローンが完済されます。高度障害の例として、両目の視力を永久に失ったもの、両上肢を手関節以上で失ったもの、などが挙げられます。
最近では死亡・高度障害の他に、がんや介護状態時に保険金が支払われる団信を取り扱っている金融機関も見られます。
団信の仕組み(イメージ)

ここで団信の仕組みを解説します。団信は住宅ローンの債務者を被保険者とする生命保険です。被保険者に保障対象の事象(死亡・高度障害等)が発生した際には、保険会社から保険金が支払われ、住宅ローンの残債が完済されます。
団信の保険料はどのように支払う?
保険料は、主に「金融機関が負担」または「金利上乗せなどの方法で住宅ローン契約者が負担」の2パターンとなります。一般的に保障内容が死亡・高度障害に限定される場合は、保険料は金融機関が負担するため、契約者の負担はありません。一方、がん罹患時に死亡・高度障害時と同等の保険金を受け取れる保障(以下、ガン団信)を付加する場合等では、借入金利に上乗せが必要になる金融機関が多い傾向です。例えば、SBI新生銀行ではガン団信の上乗せ金利は年0.1%になっています。
団信に加入するための条件
団信の加入の前には、健康状態の告知および引受生命保険会社による加入審査があります。告知する内容は、引受生命保険会社のウェブサイトなどで記載があるため、持病があるなど健康に不安な場合は、事前に確認しておいたほうが良いでしょう。また、加入条件や団信に加入できない事例なども引受生命保険会社にあらかじめ確認できると安心です。
せっかく見つけた希望の物件も、団信の加入ができなければ住宅ローンの審査が通らないため、購入ができない場合があります。家探しをしている方は、まずは健康面のチェックをしておきましょう。
団信と生命保険との違い
死亡や高度障害に備える代表的な商品として多くの保険会社が「生命保険」を扱っています。では、住宅ローンに付帯する団信と、一般的な生命保険には、どのような違いがあるのでしょうか。主な違いを確認しておきましょう。
団信 | 一般的な生命保険 | |
---|---|---|
保険金額 | 住宅ローンの残債分の金額 | 契約ごとに定められた金額 |
保険金の取り扱い | 住宅ローンの残債の完済に充当 | 家族等の保険金受取人が受け取り、資金使途は自由 |
保障期間 | 住宅ローンの契約中 *完済時に保障は終了 |
契約時に決めた期間 *終身、60歳まで、10年間など |
保険料 |
・金融機関が負担する場合が多い ・保障を付加する場合は金利が上乗せされることも |
・保障期間、年齢や性別によって決定する ・契約者が支払う |
解約 | 中途解約不可 | 中途解約も可能 |
生命保険料控除 | 対象外 | 対象 |
一般的な生命保険は、自分に合った保険期間、保険金額、保障内容を柔軟に設計することができます。一方、団信は保険期間や保険金額は住宅ローンの契約内容に左右され、保障内容は金融機関ごとにいくつかのプランが用意されていますが、設計内容に一般的な生命保険ほどの柔軟性はないのが一般的です。また、団信の保険金は残債の完済に充当されるため、遺族が保険金を住宅ローンの返済以外に使用することはできません。
団信の種類について
先述のとおり、昨今の団信の保障内容は、死亡・高度障害に限定されません。ここで詳しく解説をしておきます。
・がん保障付団信(ガン団信)
保険会社が定める所定のがん(悪性新生物)に罹患した場合に、保険金が支払われ住宅ローンの残債が返済されます。保険料は金利上乗せで支払うタイプの商品が多い傾向です。一般的ながん保険の保険金は、数十万円~数百万円程度に設定されているのが一般的ですが、ガン団信の保険金は住宅ローンの残債分となるため、実際の保険金額が数千万円程度と高額になる場合もあります。治療費等の保障を目的とするがん保険と、残債の返済を保障するガン団信では、商品性が異なるということです。
・介護保障付団信
不慮の事故などで介護が必要な状態になった場合に、保険金が支払われ住宅ローンの残債が返済されます。後述しますが、SBI新生銀行では安心保障付団信の名称で当該商品が取り扱われています。
・3大疾病保障付団信
がん・急性心筋梗塞・脳卒中といった「3大疾病」に罹患し、所定の状態になった場合に、保険金が支払われ住宅ローンの残債が返済されます。
・8大疾病保障付団信
金融機関によっては、3大疾病に加え、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎罹患時の保障が付いた「8大疾病」など保障の範囲が広いものも扱っています。
引受条件緩和型団信(ワイド団信)
健康状態が理由で通常の団信に加入できない人のために、加入条件を緩和した団信です。保険料は、一般的に金利上乗せで支払うケースが多い傾向です。ワイド団信という名称で提供している金融機関もあります。
ここまで解説した団信の種類については、こちらでもご紹介しています。
団信に加入できない場合の対処法
持病や病歴等の健康状態等を理由に団信に加入できない場合があります。その場合は、上述したワイド団信を取り扱っている金融機関に相談をしてみましょう。
ワイド団信の加入も難しい場合は、住宅金融支援機構が取り扱っている【フラット35】は検討の余地があります。当該住宅ローンには団信に加入しない場合でも利用できる住宅ローンの取り扱いがあり、団信の加入ができなかった方でも利用できる可能性があります。ただし、団信なしで住宅ローンを借りた場合、債務者に万が一が起きた際には、家族がローンの返済を引き継ぐ形になりかねません。団信なしの住宅ローンを組む際には、万が一の際に誰がどのように返済を引き継ぐのか、十分に相談をしておく必要があります。
SBI新生銀行で扱っている団信
ここでSBI新生銀行で扱っている団信をまとめておきます。
・安心保障付団信
先述の介護保障付団信のことです。不慮の事故や病気など特定の症状に限らず、介護が必要な状態になったときに、保険金で住宅ローンの残債が支払われる団信です。症状を定めていないため、病気・ケガ・事故など、どのような場合にも備えられます。ちなみに、「介護が必要な状態」とは、以下のいずれかの状態です。
- 公的介護保険制度の要介護3以上
- 保険会社所定の要介護状態


・ガン団信
住宅ローン契約者が死亡、所定の高度障害状態もしくは所定のがん(悪性新生物)と診断確定されたり、医師に余命6ヵ月以内と宣告されたりした場合、保険金で住宅ローンの残債が支払われます。
ただし、ガン団信への加入は、借入時点で満50歳未満の人限定です。また、選択した金利タイプの借入金利に年0.1%が上乗せされます。
安心保障付団信とガン団信、両方に加入することはできません。SBI新生銀行で取り扱っている団信の概要は、下記の表をご覧ください。
保障内容 | 加入 | |
---|---|---|
一般団信 | 死亡、高度障害 | 加入必須 |
ガン団信 | 死亡、高度障害、リビング・ニーズ、がん |
任意加入 (ガン団信と安心保障付団信は併用不可) |
安心保障付団信 |
・公的介護保険制度の要介護3以上 ・保険会社所定の要介護状態 のいずれかに該当した場合 |
団信の選び方と注意点
団信を選ぶ際には、自身にとっての優先順位を決めましょう。例えば、「病気への保障」であれば、ガン団信が有効です。がんは日本人の2人に1人が罹患すると言われているほど、患者数の多い病気です。住宅ローンの返済期間は長期に渡るため、ガン団信への加入は1つの安心に繋がります。ただし、上乗せ金利によって支払いの負担は増加するため、借入金額が過大にならないよう、返済シミュレーションをしっかり練っておくことをおすすめします。
返済期間が70代等の高齢時にまで及ぶ予定の方には介護保障付きの安心保障付団信が安心です。SBI新生銀行の安心保障付団信は、金利上乗せなしで加入できるため、同団信は「借入金利の低さを優先したい」という方でも選択肢に入ります。
団信のメリット
団信は、住宅ローン契約者に万が一のことが起こった場合に、保険金で残債を完済できるため、残された家族が返済を続ける必要がない点が大きなメリットです。
団信があれば、住居に関する経済的負担は軽減されます。また、団信に加入すれば、既存の生命保険の見直しができます。
金融機関によっては「ガン団信」など、特定の病気に罹患した場合にも保障される上乗せの保障が付いたものを選べる点もメリットです。
団信のデメリット
団信は、住宅ローン契約者(債務者)を被保険者とした保険です。ただ、なかには夫婦2人で収入を合算、もしくは2人が債務者になって住宅ローン契約をする「ペアローン」を利用する人もいるかもしれません。この場合は注意が必要です。
まず、収入合算の場合、団信の被保険者は住宅ローン契約者のみです。連帯保証人に万が一のことがあっても、団信に加入しているわけではないため、残債の返済が一切行われません。
ペアローンの場合は、両名とも団信には加入できます。ただし、保障されるのはそれぞれの残債部分のみです。例えば、夫に万が一のことがあった場合、夫名義の住宅ローンの残債は保険金で支払われます。しかし、妻名義の住宅ローンの残債は保険金が支払われないため、その分の返済は続けていかなければいけません。
収入合算やペアローンは、借入金額を増やすためには有効な選択肢の一つです。しかし、団信加入の面から考えると注意点もあります。万が一の際のリスクも考え、生命保険で備えるなどの対策を考えておくと安心です。
また、団信は生命保険料控除の対象にはなりません。
これは金利上乗せで住宅ローン契約者が保険料を一部負担する「ガン団信」でも同様です。
まとめ
団信には、債務者にとっては「自分に万が一が起きても、住宅ローンがない家を家族に残せる」という利点があり、金融機関にとっては債務者他界による住宅ローンの回収不能を防げるという利点があります。
ライフプランを検討する中で「いつ家を買うべきか」と悩む方は多いと思いますが、健康を害し団信に加入できなくなると住宅ローンを組めなくなることがある点は覚えておきましょう。勤務先が安定していると「家はいつでも買える」と思ってしまいがちですが、必ずしもそうとはいえないということです。
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えんどう こうじ
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[2024年11月1日現在]