SBI新生銀行

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固定金利の住宅ローンは今後どうなる?どんな人に向いている?

固定金利の住宅ローン

更新日:2024年6月

住宅ローン金利には大きく「固定金利」と「変動金利」の2種類が存在します。
住宅ローンの金利タイプは、ご自身のライフプランや金利上昇リスクに対する考え方を考慮し、ご自身の考え方に一番合うタイプを選ぶことが重要です。

固定金利は、金利が一定期間変わらないため、返済額が安定するという特徴があります。一方で、一般的には変動金利と比べて金利が高いという弱点もあります。

本記事では、「固定金利タイプの住宅ローンがどのような特徴を持ち、どういった人々にふさわしいのか」について、注意すべき点も含めて詳しく説明します。

固定金利とは、どんな金利?変動金利との違いは?

住宅ローンの固定金利とは、数年、数十年、もしくは全期間など、あらかじめ定められた期間、住宅ローン金利が変わらない金利タイプです。

変動金利は一般的には半年ごとに金利の見直しが行われ、見直しのときの市場金利によって借入金利が変わる可能性があります。固定金利の場合、金利が固定されている期間中であれば、市場金利がどのように動いても住宅ローンに適用される金利は変わりません。この点が固定金利の特徴です。

一般的に固定金利は、変動金利よりも金利が高くなっています。その代わり、金利が固定されるという安心感を優先して固定金利を選んでいる人は一定数います。

固定金利の種類について

住宅ローンを取り扱う金融機関は、さまざまな固定金利の商品を提供しています。以下では、「当初固定金利」と「長期固定金利」について解説します。

当初固定金利

当初固定金利の住宅ローンは、借入期間中、債務者が選択した固定期間終了時に金利タイプの見直しを行う商品です。住宅ローン借り入れ時に選択できる期間は、通常1年、3年、5年、10年などが用意されており、債務者は自身の家計の状況や金利の見通しに応じて選択することができます。当初固定金利の特徴は以下の通りです。

  • 選択した固定期間終了後、金利タイプの見直しを行うことができる
  • 急に金利が大きく変動するリスクを回避できる
  • 固定期間が短いほど、金利が低く設定される傾向がある

以上の特徴があるものの、金利タイプ見直しのタイミングで金利が上昇する可能性もあるため、固定期間終了後も金利タイプ見直し前の金利で借りられるとは限りません。

当初固定金利タイプの金利イメージ

長期固定金利

長期固定金利の住宅ローンは、借入期間全体を通じて金利が一定である商品です。長期固定金利の特徴は以下の通りです。

  • 完済まで金利が一定であるため、返済計画が立てやすい
  • 金利上昇リスクを完全に回避できる

ただし、金利が現在の水準から大幅に下がる可能性がある、もしくは金利が上がらない場合には、結果的に変動金利や当初固定金利と比較して不利な選択になってしまう可能性があります。この点を検討し、比較対象として他の商品の利点とデメリットを十分に把握し選択することが大切です。

長期固定金利タイプの金利イメージ

住宅ローン金利の決まり方

固定金利と変動金利のどちらが自身に合っているのかを考える際には、住宅ローンの借入金利がどのように決まっていくのかを知っておく必要があります。住宅ローンの借入金利は一般的に、以下の計算式で決まります。

基準金利−引き下げ幅=借入金利

住宅ローンの金利の仕組み

それぞれの言葉の意味を解説します。

基準金利

基準金利は、住宅ローンの基礎となる金利です。固定金利は一定期間、基準金利が固定されている金利タイプです。変動金利は、返済期間中に基準金利が変動する可能性がある金利タイプです。

固定金利の基準金利は、一般的に長期プライムレートの影響を受けます。ただ、住宅ローンのお借り入れ後に長期プライムレートが変動しても、金利を固定している期間中は、基準金利の見直しは行われません。

変動金利の基準金利は、一般的に短期プライムレートに影響を受けます。変動金利の場合は、住宅ローンのお借り入れ後に短期プライムレートが変動すると、半年ごとの金利見直し時に基準金利も変動します。

長期プライムレートは債券市場の影響を受けます。短期プライムレートは国内の短期金利の情勢によって変化します。つまり、基準金利は、金融機関の判断だけでなく様々な外部要因の影響を受けながら決定される金利ということになります。

  • プライムレート:銀行が大手企業向けに融資する際に適用する金利。

引き下げ幅

「引き下げ幅」は、その名のとおり、基準金利から引き下げる幅のことです。引き下げ幅は、各金融機関が独自に決定します。この点が外部の影響を受ける基準金利と異なる点です。

近年、競争原理によって、引き下げ幅を大きく取る金融機関が多くみられます。

全期間変動金利の住宅ローンは、基準金利の変動リスクはあるものの、引き下げ幅は一定に保たれている商品が多い傾向にあります。

一方で、固定金利の住宅ローンのうち、当初固定金利は引き下げ幅も返済途中で変化する点に注意が必要です。

借入金利

借入金利は、実際に住宅ローン債務者が負担する金利です。先述の計算式の通り、基準金利から引き下げ幅を引くことで求められます。

住宅ローンの返済中に借入金利が上がった際には、その原因は基準金利が上がった可能性や、引き下げ幅が小さくなった可能性、もしくはその両方が考えられます。

固定金利はどうなる?金利は上昇傾向?

ここでは、固定金利の推移について解説します。

固定金利の推移・決まり方について

本記事執筆時点(2024年6月)では、住宅ローンの固定金利は上昇傾向にあります。長期プライムレートに影響するといわれている「債券市場の金利」が上昇したことで、基準金利が上がっていることが原因だと考えられます。

下記は住宅金融支援機構が提供している長期固定金利型の住宅ローン【フラット35】の金利と10年もの国債の金利を並列したものです。

【フラット35】金利と10年物国際の金利推移

(出典)
【フラット35】金利:住宅金融支援機構 【フラット35】借入金利の推移のうち、最低金利を使用し筆者作成
10年物国債金利:財務省国債金利情報を基に筆者作成

この推移から、ある程度の連動が見られることがわかります。同じ現象は民間金融機関の固定金利タイプの住宅ローンにもみられています。

固定金利の今後の動きについて

本記事執筆時点(2024年6月)時点では、長期プライムレートが下記のように上がってきています。これは、2024年3月19日の「金融政策決定会合」において、イールドカーブコントロールという長期金利を0%近辺に誘導する金融政策を終了したことで、先述のグラフのとおり、10年もの国債の金利が上昇していることが原因だと思われます。

【長期プライムレートの推移】
日付 長期プライムレート
2024年3月8日 年1.6%
2024年5月10日 年1.7%
2024年6月11日 年1.8%

(出典)日本銀行「長・短期プライムレート(主要銀行)の推移 2001年以降」より筆者作成

ただ、先述した【フラット35】の金利を見てもわかる通り、2024年3月ごろから6月ごろにかけて固定金利はほとんど上昇していません。実は、民間銀行の例として取り上げるSBI新生銀行の長期固定金利(35年)も同期間において、上昇していませんでした。

しかし、今後10年もの国債の金利(長期金利)が上昇を継続した場合は長期プライムレートもさらに上昇する可能性が高いため、住宅ローンの固定金利が上昇しても不思議はありません。とはいえ、多少金利が上昇したとしても、固定金利の住宅ローンには「金利が固定されるという安全性」があることも事実であり、冷静に選択の判断をする必要があります。次の項から固定金利に向いている人はどのような人なのかについて解説します。

固定金利を選択するメリット・デメリット

ここからは、固定金利を選択するメリットとデメリットについて解説します。

固定金利のメリット

固定金利を選択するメリットには以下のような点が挙げられます。

  • 金利が一定期間変動しないため、毎月の返済額が変わらないこともあり、安定した返済計画が立てられる。
  • 金利上昇リスクを回避できるため、市況等によって金利が上昇した場合でも、固定金利ならば返済額に影響が出ない。
  • 金利が低い時期に固定金利を選択することで、長期的な金利負担を抑えることが可能。

今後の金利動向については、予測が難しいものの、本記事執筆時点では(2024年6月)まだまだ日本国内は低金利の中にいると考えられます。ただし、もし今後、国内の金利がさらに上昇することがあった際には、固定金利を選んだ方は賢明だった、ということになります。

固定金利のデメリット

一方、固定金利にはデメリットがあります。具体的なデメリットは以下の通りです。

  • 金利が下がった場合でも、固定金利は下がらない。
  • 変動金利よりも相対的に金利が高いため、金利の上昇がなかった場合は不利な選択をしたことになる。
  • 固定金利適用期間中は、変動金利に変更できない。

固定金利には「安心」というメリットがある代わりに、デメリットもあることは事実です。メリットだけでなくデメリットも考慮し、自身のライフプランや家計状況に合った金利タイプを選択しましょう。また、各金融機関の提供する住宅ローン商品は異なるため、複数の金融機関を比較検討することが重要です。

固定金利に向く人はこんな人!

固定金利に向いているのは、例えば以下のような人です。

  • 今後金利が上昇すると思う人

    固定金利は、金利が固定されている期間中であれば、変動金利のように金利見直しがありません。そのため、近い将来金利が上昇すると思う人は、固定金利を選ぶと良いでしょう。

  • 金利を確認するのが大変だと思う人

    変動金利の金利見直しタイミングで新しい住宅ローン金利を確認するのが大変だと感じたり、面倒に感じることがあります。そのような人は、金利が変わらない固定金利がおすすめです。固定金利を選択することで、一定期間は金利のチェックをしなくても済むようになります。

  • 今後、返済額の上昇が許容できない人

    住宅ローンの返済は家計における支出の多くを占めます。住宅ローン以外にも、子供の養育費など数年~十数年に渡って続く支出があります。「今の収入水準と今後の支出の増加の可能性を鑑みて、住宅ローンの返済額が上昇すると家計が赤字になってしまう」という予測をお持ちの人には、固定金利が向いています。

変動金利についても知っておこう!

変動金利は固定金利と異なり、一般的に半年に1回程度金利の見直しがあります。

金利が上昇することによる返済額の増加の可能性はありますが、借入金利が固定金利よりも低く設定されているという魅力があります。

変動金利の引き下げ幅は、一般的に全期間一定ですが、短期プライムレートの変動によって基準金利は変動する可能性があります。短期プライムレートが上昇すれば、借入金利も上昇し、毎月の返済額が増加してしまう可能性があるということです。

変動金利を選択する場合は、金利動向に目を配っておくことが大切です。

変動金利のイメージ

(注)短期プライムレートに連動せず、独自に金利を決める金融機関もあります。

変動金利に向いている人

変動金利が向いているのは、例えば以下のような人です。

今後、金利が変わらない、もしくは下がると考える人

変動金利は、半年に1回程度見直しがあります。景気や物価の影響によっては、金利が上がってしまう可能性があります。ゆえに、金利が「上昇しない」もしくは「低くなる」と考えている人に向いているといえるでしょう。

金利の上昇に対応できる人

住宅ローンの変動金利が上昇すると、毎月の返済額も増えることになります。変動金利を選ぶのは、返済額が増えても対応できるかどうかを判断してからにしましょう。
以下は3,000万円を35年間、変動金利で借りた場合の住宅ローン返済例です。11年目に金利が年1.5%上昇したと仮定した場合、毎月の返済額がどう変わるのかを確認してください。

【前提条件】
借入金額:3,000万円
借入期間:35年
返済方法:元利均等返済
金利:1~10年目 年0.5%、11年目~35年目 年2.0%

返済期間 1~10年目 11~35年目
借入金利 年0.5% 年2.0%
毎月返済額 77,875円 93,066円

(筆者作成)

上記の例では金利が1.5%上昇することで、毎月の返済額が約15,000円も上昇しました。もし、借入金額が6,000万円だったら、毎月の返済額の増加額は約30,000円ということになります。

これだけの支出の増加が起きると、資産形成のペースが鈍化するばかりでなく、家計が赤字になってしまう可能性もあります。

変動金利を選択する場合は、金利上昇リスクを鑑みた上で借入金額を決めるようにしましょう。

変動金利についてはこちらもご覧ください。

金利の上昇による返済額の変化についてはこちらもご覧ください。

固定金利と変動金利の併用について

「変動金利の低金利は捨てがたい」「でも固定金利の安定性もほしい」と悩む人のために、2つの金利を併用する方法があります。変動金利と固定金利を併用する住宅ローンを「ミックスローン」といいます。ミックスローンには、以下のような特徴があります。

  • 変動金利のメリットを享受しつつ、固定金利による金利上昇リスクを抑える効果もある。
  • 変動金利と固定金利、という組み合わせだけでなく、当初固定金利と長期固定金利といったように異なる固定金利タイプを組み合わせることもできる。

ミックスローンは必ずしも2つのローンを50%対50%の割合で組む必要はありません。変動金利部分を30%、固定金利部分を70%、あるいはその反対にするなど、金利変動に対するリスク許容度に応じて割合を自由に決めることができます。

住宅ローン契約時にかかる費用にも要注意!

金利が低い住宅ローンを見つけても、安易に契約に踏み切らないようにしてください。

住宅ローンの契約には様々な手数料や諸費用がかかるため、その金額についてしっかりとチェックしてから契約に進むことが大切です。

住宅ローン契約時にかかる手数料・諸費用には、次のようなものがあります。

費用の種類 備考
事務手数料
  • 住宅ローン契約手続きの事務手数料
  • 夫婦それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」の場合は、それぞれで必要
保証料・保証事務手数料
  • 債務者が住宅ローンの返済ができなくなった場合、住宅ローン契約の金融機関が、残債分を保証会社から返済を受けるための費用
  • 保証会社が金融機関へローン残債を返済(代位弁済)した場合、住宅ローン債務者は保証会社に代位弁済分の金額を返済しなければならない
    *SBI新生銀行は保証会社を使わないため、保証料は不要
団体信用生命保険料
  • 住宅ローン債務者が死亡、もしくは高度障害状態になった場合、保険金で残債を完済する(がん団信や三大疾病団信など金融機関によって選択できる団信は異なる)
火災保険料
  • 火災保険に加入していれば、建物や家財が火災や風水害等で損害を受けた場合、その損害に応じて保険金を受け取れる
  • 住宅ローンを完済するまで火災保険への加入を必須にしている金融機関も多い
抵当権設定登録免許税・司法書士報酬
  • 住宅ローンを契約する際は、抵当権の設定登記が必要。登録免許税は、抵当権の設定登記時に必要になる
  • 抵当権設定登録免許税額は一般的に「借入金額×0.4%」だが、以下の条件を満たした場合は「借入金額×0.1%」に軽減される
    →個人の住宅の用に供される床面積50m²以上の家屋
    →中古住宅は築後25年以内(木造は20年以内)のもの、または一定の耐震基準に適合するもの
  • その他、手続きを行う司法書士への報酬も必要
印紙税
  • 住宅ローン契約時に金融機関と締結する「金銭消費貸借契約証書」に貼付して納税
  • 税額は契約書の内容や借入金額等によって決められる
  • 電子契約の場合は印紙税は不要

上記で注意しておきたいのが、「事務手数料」「保証料・保証事務取扱手数料」「団体信用生命保険料」の3つです。

事務手数料は金融機関ごとに決められているため、各金融機関を比較する際に必ず見ておきたい部分です。SBI新生銀行では、以下のようになっています。

定額型 5万5,000円(税込)~
定率型 借入金額×2.2%(税込)

「保証料・保証事務手数料」「団体信用生命保険料」は金融機関によっては無料としているところもあります。SBI新生銀行でも債務者が死亡もしくは高度障害状態、所定の要介護状態になった場合に保険金で残債を完済できる団信は無料で付帯可能です。

住宅ローンの返済額の計算や金利以外に注意しておきたい点についてはこちらもご覧ください。

住宅ローン契約前に確認しておきたいこと

住宅ローン契約前は、手数料や諸費用だけでなく以下の点についてもぜひ確認してください。

  • 繰上返済について

    将来、家計に余裕ができたら、繰上返済をしたい人もいるでしょう。金融機関ごとに繰上返済の条件などが異なるため気をつけてください。以下の点を確認しましょう。

  • いくらから繰上返済できるか

    いきなりたくさんの金額を繰上返済にまわすと、後々家計に影響が出る可能性があります。そのため、無理のない金額を少しずつ返済していくことを考えましょう。
    なお、SBI新生銀行では1円から繰上返済が可能です。またあらかじめ指定された円普通預金残高が1万円以上上回ったら、その1万円を含めて指定残高を上回った金額について、自動的に毎日繰上返済される「自動繰上返済(スマート返済)」というシステムもあります。なるべく、住宅ローン完済を早めたいという人におすすめです。

  • 手数料

    繰上返済手数料がかかる金融機関もあります。また、無料でも「インターネット手続きの時のみ無料」などの条件が付く場合もあるため注意してください。SBI新生銀行では、繰上返済手数料は無料です。

  • 「期間短縮型」か「返済額軽減型」か

    繰上返済をする場合、以下の2つから選択できる場合があります。

    • 期間短縮型:毎月の返済額は変わらず、返済期間が短縮される
    • 返済額軽減型:毎月の返済額は減るが、返済期間は変わらない

    繰上返済を行う予定の場合は、どちらが選択できるのか確認しましょう。返済期間を短縮させるタイプのほうが元金を減らすことができるため、利息軽減には有効です。SBI新生銀行では「期間短縮型」のみ取り扱いとなります。

  • 金利の優遇があるか

    金融機関のホームページで紹介している住宅ローン金利より、金利を下げる手段があるかも確認しておきましょう。
    例えば、SBI新生銀行では以下の条件を全て満たした場合、住宅ローン借入金利が年0.05%優遇されます。

    • 自己資金10%以上
      ※借入金額が購入する物件の購入費用(諸費用除く)の合計額に対し90%以内
    • 新規で住宅を購入する場合
    • 当初固定金利、長期固定金利を選択

住宅ローンの金利について詳しくはこちらをご確認ください。

既に当初固定金利で住宅ローンを借りている方が取れる手段

「低金利」と「金利が固定されている」というメリットに魅力を感じ、「すでに当初固定金利で住宅ローンを借りている」という方もいると思います。そのような方の中には「当初借入金利適用期間が終了し、金利が上がってしまう前に対策を取りたい」という方もいると思います。そのような方が取れる手段として、「繰上返済」と「借り換え」があります。

当初借入金利適用期間が長い方には期間短縮型の繰上返済がおすすめ

先述のとおり、繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類あります。

例えば、当初借入金利適用期間が20年、住宅ローンの返済期間が30年ないしは35年といった条件の住宅ローンを借りている方には、期間短縮型の繰上返済が有効です。住宅ローンの返済期間を20年まで短くしてしまえば、金利が低い当初借入金利適用期間のみで返済を終えることができます。「当初借入金利の適用期間が終わり、引き下げ幅が縮小されることで借入金利が上がってしまう期間」をいかに短くするか、という観点で対策を考えてみましょう。

また、金利が上昇するタイミングで、返済額軽減型の繰上返済を行うのも有効です。毎月の返済額が抑えられるからです。

繰上返済を利用する場合は、手持ちの金融資産を使ってしまうことになるので、資金計画をしっかり立てた上で判断をする必要があります。

当初借入金利適用期間が短い方には借り換えがおすすめ

当初借入金利適用期間が5~10年程度の短い場合で、住宅ローンの返済期間が30年ないしは35年といったように長い場合は、全期間金利が下がる別の住宅ローンに借り換えをするのが有効です。

例えば、当初借入金利適用期間が5年の35年ローンを借りている方が、5年が過ぎる間際に借り換えを行えば、残りの30年は借り換え後の金利が適用されます。

ただし、借り換えを検討する際には以下の3点を押さえておく必要があります。

  1. 借り換えには司法書士費用、事務手数料などの手数料・諸費用がかかる
  2. 固定金利から変動金利に借り換える場合は、金利変動リスクが生じる
  3. 団体信用生命保険(団信)の保障内容が変更になる可能性がある

上記3点の中でも、1の費用については明らかなデメリットです。ただ、2については、借り換え前のままでも変動金利に移行する予定であれば、特にリスクが増加するわけではありません。団信については、借り換え時にガン団信や介護保障付団信などを選択することでより良くなることもあります。

詳しくは、住宅ローンの相談業務を行なっている金融機関の担当者に相談をすることをおすすめします。

住宅ローンを組む前にキャッシュフロー表を作りましょう

住宅ローンを選ぶ際には、キャッシュフロー表を作っておきましょう。

キャッシュフロー表とは、収入と支出、そして資産額が時系列に記載された将来の年表です。
お金の動きの他に、入力する項目として「ライフイベント」があります。
ライフイベントとは、「子供の大学入学」「家のリフォーム」といったような大きな支出の予定のことをいいます。

住宅ローンは、キャッシュフロー表上では、住宅費用として支出の項目に記載します。そのため、返済額が大きくなりすぎ、家計が赤字になるケースを未然に確認することができます。

また、将来に必要な資産額が見えるため、資産形成の計画が立てやすくなります。

キャッシュフロー表を作成した際には以下のポイントを確認しておきましょう。

<キャッシュフロー表を作成した際に見ておくべきポイント>

  1. 子供の教育費用が大きくなる時期に家計は耐えられるか
  2. 定年退職等で収入が下がる時期に住宅ローンを完済しているか

1点目の子供の教育費用がかかる時期は、要注意です。たとえば中学校から私立に通うケースの場合、小学生の時期から塾代がかかりはじめます。中学校だけでなく、高校、大学も私立の場合は、教育費用がかかる時期が長期間続くということになります。

2点目の定年退職で収入が下がる時期も注意が必要です。35年ローンなどの長期ローンを組むと年金暮らしの時期までローンが続く場合があります。老後の生活を安定させるためにも、住宅ローン等の長期ローンは定年退職までに完済しておく計画にしましょう。

住宅ローンを組む際には、「現時点の収入で支払いに問題がないか」という視点ばかりで考えてしまいがちです。将来においても問題がないか、という視点は持っておくようにしましょう。

まとめ

住宅ローンの選択は、変動金利派の方と固定金利派の方に分かれます。借入当初の金利の低さにこだわる方や金利上昇の可能性は低いと考える方は変動金利を選択します。一方で、返済金額が上がらないことへの安心を優先する方は固定金利を選択します。

当初固定金利は、緻密なライフプランを立て、返済計画に合致する場合は有効です。しかし、「固定金利の割に金利が低い」という目先の低金利だけで判断してしまうと、当初借入金利の適用期間終了後、借入金利上昇による返済額の増加に慌てることになってしまう可能性があります。各金利タイプの詳細を金融機関の担当者からよく聞いた上で、住宅ローンの選択をすることをおすすめします。

記事のおさらい

固定金利とはどんな金利?

固定金利とは、数年、数十年、もしくは全期間など、一定の期間は住宅ローン金利が変わらない金利タイプです。

固定金利に向く人は?

  • 今後金利が上昇すると思う人
  • 金利を確認するのが大変だと思う人
  • 今後、教育費等で支出が続く予定があり、返済額を一定にしたい人
執筆者
遠藤様

遠藤功二

えんどう こうじ

  • CFP(R)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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  • 借入期間は5年以上35年以内(1年単位)、借入金額は500万円以上3億円以下(10万円単位)です。
  • 変動金利(半年型)、当初固定金利をご選択された方は、当初借入金利適用期間終了後、変動金利(半年型)が自動適用となります。
  • 変動金利(半年型)、当初固定金利を利用されている方は、金利変更時に当初固定金利をご選択いただくことも可能です。ご選択にあたっては、手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
  • 各金利タイプは、金利情勢等により、やむを得ずお取り扱いを中止する場合もございます。
  • SBI新生銀行ウェブサイトにて、借入金額や借入期間に応じた毎月の返済額を試算できます。
  • 事務手数料は、借入金額に対して2.2%(消費税込み)を乗じた金額となります。それ以外に抵当権設定登録免許税、印紙税*、司法書士報酬、火災保険料等がかかります。*電子契約サービスをご利用の場合、印紙税は不要ですが、別途電子契約利用手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
  • ご融資の対象物件となる土地、建物に、当行を第一順位の抵当権者とする抵当権の設定登記をしていただきます。
  • 当行の住宅ローンを既にご利用中のお客さまにつきましては、当行で借り換えをすることはできません。
  • 住宅ローンのご融資には当行所定の審査がございます。審査結果によっては、当初借入金利に年0.10%~年0.15%上乗せになる場合がございます。ご希望に沿えない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

[2024年11月1日現在]