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住宅ローンはいくらまで借りることができるの?借入可能額を解説

「住宅ローンをいくらまで借りられるのか」は、みなさまにとって 重要な関心事だと思います。

購入できる物件の金額は、基本的には「頭金」+「住宅ローンの借入可能額」と考えることができます。ゆえに「住宅ローンの借入可能額」を確認することは、購入可能な物件価格の目安を知ることにもつながります。
今回は、住宅ローンの借入可能額と実際にいくらまで借りて良いのかなど、借入額の考え方について解説していきます。

年収の何倍の物件を取得する?

まず、実際に住宅を取得した人たちが世帯年収の何倍の物件を購入しているのかを確認しておきましょう。住宅金融支援機構が公表している2021年度「フラット35利用者調査」によると、2021年における年収倍率は、以下のような結果でした。

  • 注文住宅:約6.8倍
  • 建売住宅:約7.0倍
  • マンション:約7.2倍
  • 土地付き注文住宅:7.5倍

(参考資料)
住宅金融支援機構 2021年度 フラット35利用者調査

例えば、年収500万円の世帯が注文住宅を購入するならば3,400万円(500万円×6.8倍)、マンションならば3,600万円(500万円×7.2倍)が目安といえます。

貯蓄があれば頭金の金額を増やすことで、これ以上の金額の住宅を購入できると思う人もいるかもしれませんが、自己資金の使い過ぎには注意が必要です。マイホームを購入後にも、さまざまなことでお金が必要になる場合があるからです。

たとえば、老後資金や教育費はもちろん、病気やケガなど、想定外の支出が発生することもあります。したがって、頭金を使うときは、住宅取得費用以外に必要になりそうなお金のことをきちんと想定しておくことが賢明です。

住宅購入資金の平均額もチェック!

住宅購入資金の平均額については、先述の住宅金融支援機構の2021年度「フラット35利用者調査」によると、2021年度の住宅取得の際の所要金額は以下のとおりになっています。所要金額とは、注文住宅の場合は土地と建築費の合計、マンションの場合は購入価格のことです。

  • 注文住宅:3,572万円
  • 建売住宅:3,605万円
  • マンション:4,528万円
  • 土地付き注文住宅:4,455万円

(参考資料)
住宅金融支援機構 2021年度 フラット35利用者調査

この金額は平均金額のため、あくまでも参考程度に見ておいてください。物件の広さや付帯設備などでも大きく変わります。

住宅ローンの購入金額に関してはこちらの記事もご覧ください。

借入可能額をどうやって決める?

次に住宅ローンをいくら借りるのかという点について解説していきます。
基本的には、ご自身の「借入可能額」を把握し、その後、実際に「いくら借りるのか」を決める、という流れにすることで「借りたい金額が借りられなかった」という事態を防ぐことができます。

借入可能額はどのように決まる?

金融機関は、顧客の完済時年齢や健康状態など、さまざまな項目を基に融資判断をおこないます。ここでは融資可能額(借入可能額)を決める際にチェックされるポイントの代表的な項目を紹介します。

【金融機関が住宅ローンの融資限度額を決めるときの代表的な項目】

  • 返済負担率
  • 購入金額に占める融資の割合
  • 支払い能力
  • 物件の担保価値

返済負担率

返済負担率は年収に占める1年あたりの返済額の割合のことです。重要な指標であることはいうまでもないと思います。以下の式で計算します。

【返済負担率の計算式】
1年あたりの返済額÷年収(額面)×100%

各金融機関が基準とする返済負担率を公表しているわけではありません。参考として、住宅金融支援機構が提供する【フラット35】の返済負担率の上限を見てみます。当該返済負担率は以下のように定められています。

年収 400万円未満 400万円以上
返済負担率の基準 30%以下 35%以下

(出典)「住宅金融支援機構 【フラット35】よくある質問(2023年6月27日検索)に基づき筆者作成

住宅金融支援機構では、「1年当たりの返済額」に住宅ローン以外の借り入れの返済額も含めているそうです。そのため、カーローンなどがある人は、ない人に比べ、借入可能額は低くなります。他の金融機関も一般的に、融資審査の際に住宅ローン以外の借り入れを考慮して審査を行います。

返済負担率を35%と仮定した場合の年収ごとの年間返済額は以下のとおりになります。

500万円 700万円 900万円
年間返済額 175万円 245万円 315万円

(筆者作成)

たとえば、年間返済額175万円の毎月の返済額はボーナス払いを考慮しない場合、14万5,833円になります。この例でいうと、借入金額、返済期間、借入金利を入力して、毎月の返済額が14万5,833円になる借り入れプランは、年収500万円の人にとって返済負担率が35%のプランだということです。

住宅ローンシミュレーションを使用することで、借入条件に対する毎月の返済額は試算してみることができます。毎月の返済額を見る際には、「この返済額だと返済負担率は何%か」という視点で見るようにしましょう。
後述しますが、金融機関が返済負担率を計算するときの金利は、借り入れ金利ではなく審査用の金利を使用します。

購入金額に占める融資の割合

購入金額に占める融資の割合を「融資率」といいます。融資率の計算式は以下のとおりです。

【融資率の計算式】
借り入れ金額÷物件購入金額×100%

融資率の上限は、住宅ローン商品ごとに異なります。最近は融資率が100%の金融機関が多く見受けられます。さらに、物件購入額に住宅ローンの事務取扱手数料や登記関連費用などの諸費用も含めた金額を貸し出している金融機関もあります。

支払い能力

支払い能力は、融資をする際、金融機関が当然チェックする項目です。収入や雇用の安定性に不安がある人は、支払い能力が高いと判断されない可能性があります。職業や勤め先は借り入れ限度額に影響を与えます。

物件の担保価値

物件の担保価値、いわゆる資産性も重要な項目です。住宅ローンを借りる際には、金融機関が物件に「抵当権」を設定します。住宅ローンの返済が滞った場合でも、抵当権があれば、金融機関は物件を競売にかけて返済に充てることができます。
物件に抵当権を設定することを「担保にする」といいます。担保にする物件の価値、すなわち資産性は借入限度額に影響します。

実際に借りる金額はどのように決める?

ここまでで解説した「借入可能額」は、最終的には「本審査」を出してみるまでわかりません。おおよその金額を把握しておけば十分だといえます。
おおよその借入可能額が把握できたら、次に「いくら借りるのか」を考えます。「どのくらいの住宅費なら家計に問題が起きないか」を考えてみましょう。「住宅費」は、住宅ローン返済の他に、固定資産税等の支払いや修繕費用の積立、マンションの場合は管理費も含まれます。今の家賃支出と比較する際には、「住宅費」を住宅ローンの返済額だけで計算しないことが大切です。
また、以下のようなことを考慮する必要もあります。

  • 住宅取得資金すべてを住宅ローンで準備するのか
  • 頭金をある程度準備するのか

ちなみに、頭金の目安は一般的に「物件価格の2割」といわれています。例えば、4,000万円の物件であれば800万円です。800万円を頭金とすると、借入金額は3,200万円に減ります。

先述のとおり、最近は「物件の購入価格の100%+諸費用」を融資する金融機関があります。頭金なしで住宅ローンを組むことができる場合もあるということです。しかし、借り入れ額が多いほど、毎月の返済額は高くなります。購入後に家計が赤字になるのは良い借り方とはいえません。家計の収支を考えた上で借りる金額を判断しましょう。

検討の上で、事務取扱手数料や火災保険料などの諸費用も借り入れに含め、融資率100%以上を希望する人は、諸費用を把握しておくことをおすすめします。

他に借り入れが無いか?

先述のとおり、金融機関は、住宅ローン審査の際に、住宅ローン以外の借り入れも考慮している傾向があります。この点は、金融機関の審査の観点だけでなく、自身が借りる額を決める際にも重要なポイントになります。
例えば、すでに多くのカーローンやリボ払い等の返済がある方は、 住宅ローンを借りることで、毎月の支出に占める返済金額の割合がさらに高くなります。

「今すでに家賃を払っているのだから、その分を住宅ローンの支払いに当てても同じではないか」と考える人がいます。しかし、実際は賃貸暮らしと住宅ローン返済では、選択の自由度が異なります。

賃貸暮らしの場合は、家計が苦しくなった際に家賃の安い部屋に住み替えるという選択肢があります。一方で、マイホームを購入して住宅ローンを支払う場合、支払いが苦しくなったからといっても簡単には住み替えられないのが実情です。

多くの住宅ローンは、「居住していること」が契約に含まれており、物件を賃貸に出し、家賃収入で返済をしていくことは原則できません。売却をするにしても、不動産市況が悪ければ、住宅ローンを完済するのに十分な価格で売却できない可能性もあります。

住宅ローンの残債が残ってしまう前提で物件を売却する手続きを「任意売却」といいます。任意売却を検討する際には、まず借り入れ先の金融機関に相談する必要があります。金融機関としては担保なしのローンだけが残ってしまうのは、簡単には認められないからです。

一般論として、家計における支出の優先順位が高い項目として、税金や社会保険料の支払いがあり、そしてもう1つが「借入金の返済」です。これらは支払い義務といわれるものです。他に借り入れがある人は、住宅ローンを借りることでさらに支払い義務が膨らむ点については留意する必要があります。

金融機関が顧客の負債全体を見て住宅ローンの審査するのは、負債の返済に追い詰められてしまうのを予防する観点もあるといえるでしょう。

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返済負担率を決める「審査金利」って何?

先ほど、返済負担率は年収に占める1年あたりの返済額の割合のことだと述べました。金融機関が返済負担率を計算する際には、借り入れ金利とは別の「審査用の金利」を使います。審査用の金利は公表されていませんが、一般的に年3〜4%程度といわれています。
住宅ローンシミュレーションで、年3.5%等の仮の審査金利をいれて毎月の返済額を出し、年間の返済額がわかれば、あとは年収で割ることで、簡易的に融資判断用の返済負担率を試算することができます。

適用金利(借り入れ金利)と審査金利のシミュレーション

返済負担率は、適用金利で計算した場合と、審査金利で計算した場合で差異が生じます。ここでは、以下の条件を基に、2つの種類の金利で計算した場合の返済負担率を表にしました。

【前提条件】

  • 借り入れ金額:3,000万円
  • 額面年収:600万円
  • 借り入れ金利:年0.5%
  • 審査金利:年3.5%
  • 返済期間:35年
借り入れ金利 審査金利
毎月の返済額 77,875円 123,987円
年間の返済額 934,500円 1,487,844円
返済負担率 15.57% 24.79%

(SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションを使用し筆者作成)

この計算からわかることは、借り入れ金利と審査金利では返済負担率に9%以上の差が生じているということです。審査に落ちてしまう原因の1つとして、審査金利で計算した返済負担率が、規定を上回っている場合が考えられます。

実際の借入残高で計算した返済負担率が25%程度だった場合でも、審査金利で計算した返済負担率が35%程度の場合、金融機関側が「返済負担率が高いので満額融資には応えられない」という判断をしても不思議ではありません。

なぜなら、可処分所得(額面年収から社会保険料や所得税・住民税を除いた金額)から年収の35%分の返済額を引くと、手元には額面収入の半分くらいしか残らないからです。賞与も含めた年収で手元に残る金額がその半分ということは、月額にすると手元に残るお金はもっと少ないことになります。もちろん、これは審査金利で計算した場合の話です。借入金利で試算した返済負担率は、審査金利で計算した結果ほどは大きくならないはずです。しかし、金利が上がる可能性を鑑みると、完全に架空のことだと割り切るわけにはいきません。

ちなみに、上記では「借入金利:年0.5%」を例に挙げましたが、最近(2023年6月執筆時点)では、融資金利としてもっと低い金利を提示している金融機関もあります。たとえば、SBI新生銀行の2023年6月時点の変動金利(半年型)タイプ<変動フォーカス>の金利は、年0.42%となっています。

このように金利が低いと、実際の毎月の返済額は想定よりも軽く済むケースが多いため、大きな金額を借りても問題がないように思ってしまいがちです。ただ、借入額が大きい人ほど、金利上昇時に返済額が上昇しやすくなります。審査金利は、そのような事態も踏まえて設定されているため、過大な借り入れにならないようにするための防波堤的な役割も果たしています。

年収ごとの借入可能額を確認しておこう

借入可能額は、金融機関のホームページ上でシミュレーションできる場合もあります。現在の年収と希望する借入期間を入力すると、借入可能額が算出されます。

同じ年収でも借入期間によって借入可能額が変わるため、年数を変えていろいろ試してみると良いでしょう。ただし、シミュレーションで出てくる借入可能額はあくまで目安です。他に借入金がある場合などは、正確な借入可能額を算出できないため、注意してください。

ここでは、SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションを使って、年収ごとの借入可能額を試算してみました。

【年収ごとの借入可能額の例】
額面年収 返済期間35年 返済期間25年
400万円 3,000万円 2,440万円
500万円 3,750万円 3,050万円
600万円 4,500万円 3,660万円
700万円 5,250万円 4,270万円
800万円 6,000万円 4,880万円

(SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションを使用し筆者作成)

年収だけでなく、返済期間も影響度が高い点には注意しましょう。

年収から借り入れをシミュレーションする

住宅ローンの借入期間を決める場合は以下の記事も参考にしてください。借入期間によって、返済額がどのくらい異なってくるかも解説しています。

借入可能額と返済可能額を比較する

ここで借入可能額と返済可能額の年間返済額を比較しておきましょう。
ここでいう返済可能額とは、「この金額なら毎月返せる額」という意味です。返済可能かどうかを決めるのは家計をやりくりする債務者本人であるため、返済可能額は「自分が決めた借入可能額」という意味があります。

そのため、「返済可能額」を「借入希望額」(自分が返済可能と判断し、借り入れを希望する額)と読み替えていただいた方がわかりやすいと思います。返済可能額(借入希望額)は、家計の支出によって大きく異なるため、ここでは「額面収入の25%の場合」と「額面収入の20%の場合」を仮の数値として記載しています。

実際には、家計を見ながら自身で決める必要があります。たとえば子育て中の人は、教育費などの住宅資金以外の支出が上がっていきがちなので、返済可能額(借入希望額)を低く設定すると安心です。

借入可能額(銀行が貸してくれる最大額)を借りた場合の年間返済額は、35年ローン、借入金利を年0.5%と仮定し、元利均等返済で試算しています。

返済可能額(借入希望額)が借入可能額を超えていると、「審査の結果、申し込んだ金額が借りられなかった」という事態が起きる可能性が高いといえます。

【借入可能額と返済可能額の比較】
借入可能額:銀行が顧客に「貸せる」と判断した金額
返済可能額:顧客が自分で「返せる」と判断した金額

額面年収 借入可能額 年間の返済可能額
(年収×25%)
年間の返済可能額
(年収×20%)
借入可能額を借りた場合の年間返済額※
400万円 3,000万円 100万円 80万円 93万円
500万円 3,750万円 125万円 100万円 116万円
600万円 4,500万円 150万円 120万円 140万円
700万円 5,250万円 175万円 140万円 163万円
800万円 6,000万円 200万円 160万円 186万円
項目 金額
借入可能額 3,000万円
年間の返済可能額(年収×25%) 100万円
年間の返済可能額(年収×20%) 80万円
借入可能額を借りた場合の年間返済額※ 93万円
項目 金額
借入可能額 3,750万円
年間の返済可能額(年収×25%) 125万円
年間の返済可能額(年収×20%) 100万円
借入可能額を借りた場合の年間返済額※ 116万円
項目 金額
借入可能額 4,500万円
年間の返済可能額(年収×25%) 150万円
年間の返済可能額(年収×20%) 120万円
借入可能額を借りた場合の年間返済額※ 140万円
項目 金額
借入可能額 5,250万円
年間の返済可能額(年収×25%) 175万円
年間の返済可能額(年収×20%) 140万円
借入可能額を借りた場合の年間返済額※ 163万円
項目 金額
借入可能額 6,000万円
年間の返済可能額(年収×25%) 200万円
年間の返済可能額(年収×20%) 160万円
借入可能額を借りた場合の年間返済額※ 186万円

(SBI新生銀行の住宅ローンシミュレーションを使用し筆者作成)

  • 返済期間35年、元利均等返済、借入金利0.5%、千円以下切り捨てで筆者試算

この試算では、年間の返済可能額(借入希望額)を「年収×20%」に設定した場合は、借入可能額で借りた場合の年間返済額を下回りますが、「年収×25%」で借りると借入可能額で借りた場合の年間返済額を上回ってしまいます。

額面年収400万円の人の例でいえば、「私は年間に100万円ずつなら返せます」といっても、金融機関は「年間の返済額が93万円になる程度の金額まで(ここでは3,000万円)しか貸せません」と答えている状態ということです。
無理のない借り入れにするためと、審査落ちで希望の住宅が買えない落胆を防止するために、借入可能額以下に返済可能額(借入希望額)を設定すると良いでしょう。

借入可能額より返済可能額が重要!

これから住宅ローンを借りようと考えている人の多くは「自分がどれだけの金額を借りられるのか」という「借入可能額」に関心が強い傾向があります。借入可能額によって、目当ての物件が購入できるか否かが決まるのでこれは当然のことだと思います。また、「借入可能額」を把握した上で物件を探せば、手が届かない物件を排除できるので効率的です。

しかし、前述のとおり、借入可能額と返済可能額は異なります。年間の返済可能額を自身で試算し、その返済額に相当する借入額を予算として物件を探せば、住宅購入後に返済に苦しむ可能性を下げることができます。

住宅ローンは、借りる前は「なるべく多額の資金を借り、希望物件を購入したい」という気持ちが先行しますが、借りた後は「返済をできるだけ軽くしたい」という気持ちが生じます。

返済開始後の負担のことを考えるなら、借入可能額よりも返済可能額が重要だといえます。

借入額を増やすためにできることとは?

実は、借入可能額を増やす方法はあります。ここでは、「収入合算」と「ペアローン」についてご紹介します。まずは、簡単に特徴を押さえておきましょう。

収入合算
  • 申込者の収入に一定の収入のある親族の収入を合算し、合算金額を元に住宅ローンを借りる
  • 住宅ローン契約は1本
ペアローン
  • 一定の収入がある同居親族と一緒にそれぞれが「主たる債務者」となり、住宅ローンを組む
  • それぞれが相手の債務に対する連帯保証人となる
  • 住宅ローン契約は2本

収入合算、ペアローンともに、2名分の収入を考慮して住宅ローンの借入可能額が決定します。
ここで、収入が合算できる親族は「親子」や「配偶者」です。

収入合算・ペアローンのメリットとデメリット

収入合算やペアローンは、親族2名の収入を合わせて住宅ローンを契約する方法です。先ほど特徴を確認しましたが、契約の詳細についても知っておきましょう。
*夫婦で契約する場合の例です。収入合算においては、主債務者が夫の場合

収入合算 ペアローン
申込者 夫・妻
連帯保証人 妻・夫
返済(口座引き落とし) 夫・妻
団信加入 夫・妻
住宅ローン控除の対象 夫・妻

収入合算は、連帯保証人のみを合算者が担い、返済や団信加入などは申込者が対象です。ペアローンは、契約が2本になるため、団信加入や住宅ローン控除も2名が対象となります。また、口座引き落としでの返済も2名が行わなければなりません。

収入合算とペアローンのメリット・デメリットも押さえておきましょう。

【収入合算】
メリット
  • 申告する収入額が増える
  • 住宅ローン契約は1本のため、諸費用(事務取扱手数料や保証料、登記費用など)が1本分で済む
デメリット
  • 連帯保証人は団体信用生命保険に入れないため、連帯保証人が亡くなった場合、返済はそのまま継続する
  • 住宅ローン控除対象は主債務者のみ

収入合算では、住宅ローン契約が1本です。そのため、金融機関へ支払う事務取扱手数料や登記時の費用などの負担をなるべく抑えたい人に向いているでしょう。ただし、連帯保証人は団信に入れません。また、住宅ローン控除対象は主債務者のみです。

【ペアローン】
メリット
  • 申告する収入額が増える
  • 2名とも団体信用生命保険に加入できる。片方が亡くなった場合は、亡くなった方の残債のみが保険で支払われる
  • 2名とも住宅ローン控除対象となる
デメリット
  • 契約が2本になるため、諸費用(事務取扱手数料や保証料、登記費用など)が2本分かかる
  • 片方が亡くなった場合でも、もう片方の人の残債は返済が続く

ペアローンでは、2名とも団体信用生命保険に加入ができます。片方が亡くなった場合は、その人の残債が保険から支払われますので、負担軽減はできるでしょう。ただし、遺された人の残債はそのままのため、負担がすべてなくなるわけではありません。遺された人に十分な収入がないと返済を続けられなくなる、という懸念も生じます。

収入合算やペアローンには、2人で家計を支えている、という前提があるため、パートナー(収入合算の場合は団信適用外の連帯保証人)に万が一があった場合に、家計が苦しくなることが想定されます。そのようなケースに備えて、収入保障保険などの掛け捨て保険に加入しておくのは一案です。収入保障保険は、被保険者に万が一があった場合に、年金形式で保険金を受け取れるタイプの生命保険です。保険金を住宅ローン返済に充当することで、家計の支出負担を軽減できます。

また、住宅ローン控除については、ペアローンの場合は契約が2本となるため、どちらも対象です。節税を考えている人は、有利に感じられるかもしれません。ただし、契約時は2本分の諸費用がかかり、負担が大きくなります。もし、ペアローンを検討するのならば、諸費用負担がなるべく少ない金融機関を選択することがおすすめです。

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収入合算とペアローンの特徴から考えると、それぞれに以下のような人が向いているといえるでしょう。

  • 収入合算:2名とも働いているが、片方の収入が多く収入の差がある
  • ペアローン:2名ともに、ある程度以上の収入がある

自分の家庭の事情も考慮して、単独で住宅ローン契約をするか、それとも収入合算やペアローンを使った方がいいのかを検討してみてはいかがでしょうか。

収入合算とペアローンの特徴や違いについてはこちらもご覧ください。

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借入可能額いっぱいまで利用するのは危険!

本記事では通常の住宅ローン契約だけでなく、収入合算、ペアローンとさまざまな契約方法についても確認しました。借入可能額を試算してみて、自分の予想以上に住宅ローンを借り入れできそうだとしても、借入可能額まで借りることは避けたほうが良いでしょう。当然、借りたお金は返さないといけません。多めの額を借り入れて無理な返済になるような事態は避けましょう。

たとえば、マンションの場合は、住宅購入代金だけでなく、管理費や修繕積立金も定期的に支払う必要があります。住宅ローンの返済と同時にこれらのお金も支払わないといけません。「返済金だけでいっぱいになってしまい、それ以外に手が回らない」といった状況は避けたいものです。

特に、「収入が今後下がる見込みである」という人は、現在よりさらに低めの返済可能額を元に借入額を決める必要があるでしょう。

一方で、「これから収入が上がっていく見込みが高い」または「現在は片働きだが数年中に共働きになる」などの家計の収入の増加が見込まれる場合には、将来の返済可能額を今よりも高く見積もれる可能性があります。

このようなことを考えずに、生涯における年収のピーク時点で、借入可能額と同額の借り入れをするのは、リスクが高いと言わざるを得ません。

と将来における返済可能額を試算することで、無理のない借入額を検討しましょう。

  • 本稿の内容は2020年8月の情報を基に作成し2023年6月に更新したものです。
執筆者
遠藤様

遠藤功二

えんどう こうじ

  • CFP(R)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

  • 本資料は情報提供を目的としたものであり、SBI新生銀行の投資方針や相場観等を示唆するものではありません。
  • 金融商品取引を検討される場合には、別途当該金融商品の資料を良くお読みいただき、充分にご理解されたうえで、お客さまご自身の責任と判断でなさるようお願いいたします。
  • 上記資料は執筆者が各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性をSBI新生銀行が保証するものではありません。

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  • 変動金利(半年型)、当初固定金利をご選択された方は、当初借入金利適用期間終了後、変動金利(半年型)が自動適用となります。
  • 変動金利(半年型)、当初固定金利を利用されている方は、金利変更時に当初固定金利をご選択いただくことも可能です。ご選択にあたっては、手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
  • 各金利タイプは、金利情勢等により、やむを得ずお取り扱いを中止する場合もございます。
  • SBI新生銀行ウェブサイトにて、借入金額や借入期間に応じた毎月の返済額を試算できます。
  • 事務手数料は、借入金額に対して2.2%(消費税込み)を乗じた金額となります。それ以外に抵当権設定登録免許税、印紙税*、司法書士報酬、火災保険料等がかかります。*電子契約サービスをご利用の場合、印紙税は不要ですが、別途電子契約利用手数料5,500円(消費税込み)がかかります。
  • ご融資の対象物件となる土地、建物に、当行を第一順位の抵当権者とする抵当権の設定登記をしていただきます。
  • 当行の住宅ローンを既にご利用中のお客さまにつきましては、当行で借り換えをすることはできません。
  • 住宅ローンのご融資には当行所定の審査がございます。審査結果によっては、当初借入金利に年0.10%~年0.15%上乗せになる場合がございます。ご希望に沿えない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

[2024年11月1日現在]