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既存住宅性能評価書とは?すまい給付金や住宅ローンへの影響も

住宅の建築や購入について調べる際、「既存住宅性能評価書」という言葉を耳にすることがあります。既存住宅性能評価書には、一体どのような意味があり、評価を取得するためにはどうすればいいのでしょうか。

既存住宅性能評価書とは?評価の方法について

既存住宅性能評価とは、既存住宅(中古住宅)の性能について、第三者の観点からチェックをしてもらい、与えられる評価です。この性能評価は新築住宅でもありますが、中古住宅の場合は新築住宅のチェック項目(10分野32事項)と比べ項目が少なく、7分野27項目(新築時に建設住宅性能評価書が交付されていない既存住宅は6分野16項目)です。

性能評価審査は、国土交通大臣の登録を受けた第三者機関「登録住宅性能評価機関」が行い、評価は1~5等級で表示されます。既存住宅性能評価は、住宅の購入者が審査を依頼するのが原則です。ただし、不動産会社・ハウスメーカーが審査を依頼、評価を取得し「既存住宅性能評価付き住宅」として販売することもあります。なお、既存住宅性能評価書を取得するためには一般的に数万円~数十万円の手数料がかかります。

既存住宅性能評価書があることで何が違う?

既存住宅性能評価書があると、住宅ローン控除にも生かせる可能性があります。
一般的に、返済開始から完済までの期間が10年超になる住宅ローンを利用する場合、住宅ローンの年末残高の1%が所得税から10年間(2019年10月~2020年12月末までの入居の場合は13年間)控除される「住宅ローン控除」の適用対象です。(所得税から引ききれない場合は住民税からも控除されます。)

住宅ローン控除は、中古住宅の場合、主に以下の条件を満たすことが必要です。

  • 家屋が建築された日から、取得の日までの期間が20年以下
  • マンションなど耐火建築物の建物の場合には25年以下

ただし上記の条件を満たしていなくても、一定の耐震基準をクリアしていると控除対象になります。既存住宅性能評価書があれば、住宅が耐震基準を満たしているかどうかの確認ができるので、控除を受ける可能性が広がるかもしれないのです。

  • 耐震基準は「耐震基準適合証明書」でも確認できます。また、既存住宅売買瑕疵保険への加入でも耐震基準クリアとみなされます。

すまい給付金の申請にも既存住宅性能評価書が必要?

住宅ローンと共に住宅購入時の補助となる「すまい給付金」という制度があります。この給付金を得るためには、申請が必要です。申請できるのは年収、床面積などの条件を満たした場合のみですが、中古住宅の場合は主に以下を満たす必要もあります。

  • 売主が宅地建物取引業者である中古住宅取得のとき
  • 既存住宅性能評価制度を利用した住宅(耐震等級1以上のものに限る)
  • 既存住宅売買瑕疵保険へ加入している場合、既存住宅性能評価は不要です。

既存住宅売買瑕疵保険に加入しないのならば、既存住宅性能評価書が必要になるのです。

既存住宅性能評価書は住宅ローンにも関係ある?

既存住宅性能評価書を取得していることで、住宅ローンを組む際の条件を変えられることもあります。たとえば、既存住宅性能評価で耐震等級1を取得していると、住宅ローンに「自然災害に備える」特約が付加できる可能性があるでしょう。他にも、金融機関によっては耐震等級1と評価されていれば、金利を下げることができる住宅ローンもあるようです。

既存住宅性能評価書を取得していることで、中古住宅の安全性の担保ができるだけではなく、その他にも利用できる点が多くあります。評価のための審査には多額のお金がかかるという注意点もあるため、メリット・デメリットを考えて取得するかどうかを決めましょう。

  • 住宅ローン控除の制度について詳しくは、国税庁ホームページ等でご確認ください。
  • 本稿の内容は2020年2月3日時点の情報に基づきます。
執筆者
田尻様

田尻宏子

たじり ひろこ

  • 2級FP技能士
  • 証券外務員第一種

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

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[2024年11月1日現在]