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住宅ローン初年度にやることは?確定申告について解説

更新日:2023年11月

住宅ローンの利用を開始し、一定の条件を満たしたら「住宅ローン控除」によって所得税の還付を受けることができます。そのためには住宅ローンを組んだ初年度に自分で申請をしないといけません。どのような手続きをしないといけないのでしょうか。詳しく解説していきます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは?

住宅ローン控除とは、年末の時点で住宅ローンの借入残高がある人が利用できる、所得税の税額控除の制度です。所得税から規定の税額を控除しても、控除枠が余る場合は、一部住民税からも控除ができます。

本制度は、過去に何度も改正が行われています。この記事では2022年に改正された制度の内容に基づいて解説しています。主な内容な下記の表のとおりです。本記事ではこの表に基づいて解説をしていきます。

【新築住宅・買取再販住宅】

控除対象借入残高限度額 カッコ内は税額控除の限度額

2022年 2023年 2024年 2025年
認定住宅 5,000万円(455万円) 4,500万円(409.5万円)
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円(409.5万円) 3,500万円(318.5万円)
省エネ基準適合住宅 4,000万円(364万円) 3,000万円(273万円)
その他の住宅 3,000万円(273万円) 令和5年までに新築の建築確認済みの場合:2,000万円(140万円)
上記以外:適用なし
控除率 年末の借入残高×0.7%
控除期間 13年
(2024年、2025年入居の「その他の住宅」については10年)
所得要件 合計所得金額2,000万円以下

【中古住宅】控除対象借入残高限度額 カッコ内は税額控除の限度額

2022年 2023年 2024年 2025年
認定住宅 3,000万円(210万円)
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
その他の住宅 2,000万円(140万円)
控除率 年末の借入残高×0.7%
控除期間 10年
所得要件 合計所得金額2,000万円以下

(出典)国税庁タックスアンサー「1211-1」「1211-2」「1211-3」を基に筆者作成

新築・買取再販住宅の控除率・控除適用期間

2022年以降の新築・買取再販住宅購入者が利用できる住宅ローン控除の税額控除率は、「年末の借入残高×0.7%」です。4,000万円の借入残高がある年であれば、「4,000万円×0.7%=28万円」が、所得税から引ける税額控除額ということです。

ちなみに、買取再販住宅とは、宅地建物取引業者が住宅を買い取り、一定の期間内に一定の増改築をおこなって販売した住宅のことをいいます。

控除適用期間は表にあるとおり、最長13年、物件によっては10年となっています。

中古住宅の控除率・控除適用期間

2022年以降の中古住宅購入者が利用できる住宅ローン控除の税額控除率は、年末の借入残高の0.7%です。控除適用期間は表にあるとおり、最長10年となっています。

令和4年度税制改正での変更点

住宅ローン控除は、2022年(令和4年)に改正がおこなわれました。主な改正点は以下のとおりです。

  • 控除率の引き下げ
  • 所得要件の変更
  • 住宅性能区分の細分化

借入残高に乗じる0.7%の控除率は、2021年までは1.0%が原則でした。また、現行は合計所得金額2,000万円までとされている所得要件は、2021年までは3,000万円でした。

住宅性能についても、改正前は現行のような複数種類の細かい区分ではなく、「一般の住宅」と「認定住宅」という大枠の括りでした。

2022年の改正以降、制度は複雑化したといえます。

住宅ローン控除の適用条件とは?

住宅ロ-ン控除を利用するための主な適用条件は、以下のとおりです。

<住宅ローン控除の主な適用条件>

  • 取得や新築等から6ヵ月以内に入居している
  • 控除を受ける年の12月31日まで居住している
  • 一定の所得要件を満たしている(物件によっては所得要件が合計所得金額1,000万円以下の場合あり)
  • 住宅ローンの返済期間が10年以上ある
  • 別荘等ではなく、主として居住用の住宅である
  • 住宅ローン控除と併用不可の各種特例を利用していない
  • 住宅は親族などの特別な関係の人からの購入ではない
  • 贈与による住宅の取得ではない

住宅ローン控除の適用条件は物件ごとに異なります。不動産業者に住宅性能や引き渡し時期など、制度利用に影響する重要な事項については聞いておくことをおすすめします。

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能?

ふるさと納税と住宅ローン控除は併用可能です。ふるさと納税における寄付金控除は、所得税においては所得控除、住民税においては税額控除にあたります。所得税においては、住宅ローン控除は税額控除であるため、併用可能であることは当然といえます。

ただ、住宅ローン控除は所得税から引ききれなった額の一部を住民税から引くことができます。(所得税の課税総所得金額の5%、最高97,500円)

この場合も、ふるさと納税の寄付金控除は、住民税における税額控除として、住宅ローン控除と併用できます。

ちなみに、住民税からの税額控除は、寄付金控除よりも住宅ローン控除が優先されます。

住宅ローン控除の控除額の計算方法

住宅ローン控除の控除額の計算方法は、表にあるとおり、「年末の借入残高×0.7%」です。返済が進むことで、借入残高が減少するとともに、住宅ローン控除額も減っていくことについては留意が必要です。

住宅ローン控除のための確定申告はいつするの?

住宅ローン控除を受けるためには、所得税の確定申告が必要です。所得税の確定申告は、住宅ローン控除を受ける年の翌年の2月16日~3月15日までにおこないます。

たとえば2023年に新築住宅を購入し、同年中に居住した場合は、2024年の2月16日~3月15日が所得税の確定申告の期間です。

申告の際、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や金融機関から受け取る「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の他、複数の書類を確定申告書に添付する必要があります。

住宅ローン控除における2年目以降の手続きはあるの?

2年目以降も、所得税の確定申告をおこなっている方は、「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」や「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」を添付する必要があります。

会社員等で、所得税が給与から天引きされ、年末調整で納税が完了している人は、2年目以降については、住宅ローン控除を受ける際の所得税の確定申告は必要ありません。「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の必要書類を会社に提出すれば、年末調整で所得税の還付を受けることができます。

住宅ローン初年度の確定申告を忘れたらどうなる?

住宅ローン控除を受けるためには、初年度に所得税の確定申告が必須です。毎年2月中旬~3月中旬が申告期間ですが、もし忘れてしまった場合でも、還付申告する年分の翌年1月1日から5年間に申告をすれば控除を受けることができます。

住宅ローン控除のための所得税の確定申告はどこでするの?

住宅ローン控除のための所得税の確定申告は、お住まいの地域を管轄する税務署に訪問して直接書類でおこなうか、インターネットでおこなうe-Taxの方法もあります。書類によってはイメージデータで提出可能なものもあるため、忙しい方にはe-Taxがおすすめです。

住宅ローン初年度の確定申告で必要な書類とその入手方法

控除を受けるために、住宅ローン初年度に所得税の確定申告が必要です。確定申告時には、主に以下の書類を準備してください。(カッコ内は入手先)

  • 本人確認書類
  • 所得税の確定申告書(税務署・国税庁サイト)
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署・国税庁サイト)
  • 住宅ローンの年末残高証明書(住宅ローンを契約した金融機関)
  • 登記事項証明書(法務局)
  • 不動産売買契約書の写し

住宅ローン残高証明書のように送られてくるものだけでなく、自分で法務局から取り寄せないといけない書類もあります。慌てないように準備しましょう。

住宅ローン控除の確定申告書類の書き方と提出方法

住宅ローン控除のための所得税の確定申告書の書き方については、税務署が詳しい手引きを作成しています。例として令和4年分のもののURLを下記に記載します。毎年度分のものをウェブ検索で入手することをおすすめします。
(参考)令和4年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き

住宅ローン控除の際の注意事項!

住宅ローン控除を利用する予定の人は、物件購入前に不動産会社や税理士等の専門家に利用の可否を相談しておきましょう。物件の性能や広さ、居住開始日等が制度の対象外であり、想定していた控除が受けられない場合があるからです。
「この物件なら住宅ローン控除の対象になるだろう」という思い込みだけで、検討を進めるのはリスクがあります。

住宅ローンを使わずに家を購入した人も使える税額控除!

住宅ローンを利用せずに認定住宅またはZEH水準省エネ住宅を購入した場合は、一定の条件を満たす場合に「認定住宅等新築等特別税額控除」を受けることができます。

計算式は、下記のとおりです。

<「認定住宅等新築等特別税額控除」の計算式>

45,300円×認定受託の床面積m²×10%=控除額(最高65万円)

(出典)国税庁 マイホームを持ったとき

住宅ローン初年度は確定申告を忘れずに行おう!

住宅ローンを組んで住宅を購入したとしても、自動的に住宅ローン控除が受けられるわけではありません。所得税の確定申告は忘れずにおこなうようにしましょう。

執筆者
遠藤様

遠藤功二

えんどう こうじ

  • CFP(R)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)

株式、債券、金利、為替、REIT等、マーケットの変動がその価格等に影響を及ぼす金融商品を購入する際は、必ず個別金融商品の商品説明書等をご覧・ご確認いただき、マーケットの動向以外に、各金融商品にかかる元本割れなどの固有のリスクや各種手数料についても十分ご確認いただいた上でご判断ください。

本稿は、執筆者が制作したもので、SBI新生銀行が特定の金融商品の売買を勧誘・推奨するものではありません。

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当行では具体的な税額の計算、および、税務申告書類作成にかかる相談業務はおこなっておりません。個別の取り扱いについては、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご確認ください。

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[2024年11月1日現在]